嵐の三連休、その時まきば線では何が起きていたのか その2

さて、翌日の16日。
台風18号は朝には東海地方に上陸し、関東地方に向けて進んできます。
ゆめ牧場のある千葉県北東部も朝から激しい風雨が吹き荒れ、蒸機列車運行は中止となることが決まりました。
各地の交通機関も混乱が続くなか、蒸機列車運行中止の知らせに羅須地人たちも荷物をまとめて帰宅の準備を……するはずがありません。

蒸機運行にあたるはずだったメンバーも一緒になって、早速、昨晩からの作業の続きに取り掛かります。
1号機のボイラーにはボイラー関係の配管や圧力計、水面計などが取り付けられていきます。
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保管してあった水面計をとりつけるとっちゃん

さらに、ボイラーの横には水タンク代わりの大型ポリバケツが積まれ、インゼクター(給水器)の配管が突っ込まれます。そう、まだ補修されていない水タンクの代わりに、なんとこの灰色ポリバケツが臨時の1号機水タンクになろうとしていました。普段は罐猫軒で生ゴミ集積用として使われているこのポリバケツ、まさか蒸気機関車の水タンクに使われるとは思っていなかったことでしょう。
機関庫の外は暴風雨。しかし、機関庫の中では何かに憑りつかれたように、“ある目的”に向けて作業にあたる羅須地人たちがいたのでした。
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ボイラーの横には灰色のポリバケツを搭載。いわゆるサイドタンク?

そして、16日のお昼頃、すべてのボイラー関係配管が取り付けられた1号機は、弱まりかけてきた風雨の中、102号機に牽かれて機関庫から引き出されていきます。ボイラーの上にはおNEWの煙突が輝きを放っています。三連休初日の14日に製造したつかちゃん自身の手で持ち込まれ、設置された煙突です。
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102号機に牽かれ機関庫を出る1号機。おNEWの煙突がカッコいい!

そのまま、機関庫2番線より1番線に転線、機関庫脇の給水タンクよりボイラーに水が注がれていきます。
このボイラー、大阪の楠ボイラ(株)さんに製造いただき、2002年7月にまきば線に搬入された新品未使用の機関車用ボイラーです。
しかし新品とはいえ、時の経つのは早いもので、いろいろあるうちに、未使用のままボイラー検査証には11個ものハンコが並んでしまいました。
しかし、この日、いよいよ配管類も取り付き、製造12年目にして初めてのボイラー注水が始まります。
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皆が見守る中、初めて水が張られる1号機の新ボイラー!

ところが…。
今回初めて組んだ配管も多く、ボイラーの水面が上昇してくると、あちこちから「ぽたぽた」「ちょろちょろ」と漏水が…。さらに、常用水位まで達したところで、ボイラーに圧縮空気を入れてみると、さらに「ぴゅ~~」という漏水まで!
みんなでボイラー配管を再確認、改めて漏水個所を特定し、配管のシールをやり直します。
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寄って集って漏水箇所探索中

ということで、紆余曲折はあったものの、水漏れ対策も完了、ボイラー内の圧縮空気の漏れも無事止まりました。
せっかくですので、この圧縮空気できちんと自走するかどうかの確認が行われます。すでにこの1号機、今年3月にすでに圧縮空気での自走は成功していますが、それでも緊張が走ります。
皆が見守る中、ゆっくりと加減弁が開けられると、1号機はじわじわっと自走し、走行関係の配管およびバルブやロッド類も問題ないことが確認されました。
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圧縮空気での自走試験の結果も良好!

時刻はまだ午後1時頃。すでに台風18号の影響も峠を超えたようで、まだ多少の風はあるものの、もう雨は上がっています。
ボイラーには水が張られ、走り装置のテストも完了、時間もまだ充分、しかもまきば線は営業休止中で本線は使い放題。
…“ある目的”に向けてまっしぐらの羅須地人たちを止められるものは、もう何もありません。

続きます

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